中性脂肪とコレステロールの関係性

中性脂肪とコレステロールの関係性

混同されがちな、「中性脂肪」と「コレステロール」。
どちらの数値も高い人もいれば、「中性脂肪値は高いけどコレステロール値はそうでもない」、なんて人や、その逆の人もいるのではないでしょうか。
ここではその2つの関係性について紹介していきます。

どちらも血液中に存在するもの

「中性脂肪」も「コレステロール」も、どちらも血液中に存在するものです。そしてどちらも高すぎると動脈硬化を引き起こすため、注意が必要です。

中性脂肪の主な原材料は、食事から摂取した糖質や脂質。
摂取した糖質や脂質のうち、人間が活動するためのエネルギー源として消費されなかった分が、肝臓に送られて「中性脂肪」として合成されます。

一方、コレステロールは、人間の細胞膜を生成するために必要な脂質です。
コレステロールには、HDLコレステロールとLDLコレステロールがあり、両者が相互に作用することで、ビタミンDが合成されます。
副腎皮質ホルモンや性ホルモン、脂肪の消化を助ける「胆汁酸」もコレステロールから生成されます。

善玉コレステロール、悪玉コレステロールって?

いわゆる「善玉コレステロール」と呼ばれるのが、「HDLコレステロール」。体内の血管や組織から余分なコレステロールを集め、肝臓へ運んで再利用させてくれます。
そして「悪玉コレステロール」と呼ばれるのが、「LDLコレステロール」。肝臓で生成されたコレステロールを身体の隅々まで運んでくれるのですが、増えすぎると動脈硬化を促進させるため「悪玉」と呼ばれています。

コレステロールの比率「LH比」

ここで確認したいのが、「LH比」。「LH比」とは、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」で示される比率のことです。
たとえば、LDLコレステロール値が135mg/dlで、HDLコレステロール値が45mg/dlとすると、「135÷45=3」で、LH比は3.0となります。
例で示したLDLとHDLの数値(135mg/dl、45mg/dl)は、個別にみると、どちらも現在の基準では「正常」の範囲です。
治療が必要とされるのは「LDLコレステロール値が140mg/dl以上」、または「HDLコレステロール値が40mg/dl未満」なので、どちらにも該当せず、健康状態ということもできます。
ところがLH比でみると3.0というのは、じつは動脈硬化が進んだ「かなり危険」な領域なのです。

病院での調査例などから、LH比が2.0を超えると血管内のコレステロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われ、2.5を超えると血栓ができている可能性があり、心筋梗塞のリスクも高いことが指摘されています。
その反対にLH比が1.5以下では、血管内がきれいで健康な状態です。
そこでLH比の目安として、「ほかに病気がない場合には2.0以下に」、また「高血圧や糖尿病がある場合、あるいは心筋梗塞などの前歴がある場合には1.5以下に」することが望ましいとする病院が増えています。
最近は健康診断で、LDLとHDL両方のコレステロール値を計測することが一般的になってきています。LH比(LDL値÷HDL値)は簡単に計算できるので、コレステロールを見直すきっかけにしましょう。

中性脂肪値とLDLコレステロール値は比例しやすい

中性脂肪値とコレステロール値自体は、必ずしも比例するとは限りません。
中性脂肪が増加すればLDLコレステロール(悪玉コレステロール)も増加する傾向にありますが、HDLコレステロール(善玉コレステロール)は減少する傾向にあります。
反対に中性脂肪が減少すれば、LDLコレステロールも減少しますが、HDLコレステロールは増加する傾向にあります。
つまり、中性脂肪とLDLコレステロールは比例しやすく、中性脂肪とHDLコレステロールは反比例しやすい関係にあるので、「中性脂肪値が低いのにコレステロール値が高い」状態は、善玉コレステロールが多い状態であるということが考えられます。

「脂質異常症」の判断基準

中性脂肪値とLDLコレステロール値のどちらか片方が高い、もしくはHDLコレステロール値が低い場合、「脂質異常症」と診断されます。
診断基準では、空腹時の血液中に「中性脂肪値が150㎎/dl以上」、「LDLコレステロール値が140㎎/dl以上」、「HDLコレステロール値が40㎎/d1未満」、のいずれかがあれば引っかかってしまいます。
脂質異常症の中でも、「HDLコレステロールが低い上に中性脂肪の値が多い」場合は特に、動脈硬化症となる可能性が高まるので注意が必要です。

中性脂肪値とLDLコレステロール値は下げて、HDLコレステロール値を上げれば◎

数値が高くても自覚症状がないため、つい放置してしまいがちな中性脂肪値やコレステロール値。
だからこそ、状態が悪化しても気付きにくく、いつのまにか取り返しのつかないことになっていた…ということも少なくはありません。
中性脂肪値やLDLコレステロール値の改善には、食事療法や運動が大切です。
このサイトでは色々な対策法を紹介しているので、ぜひご覧になってくださいね。