そもそも中性脂肪とは
健康診断の結果を見て、「また中性脂肪値で引っかかってしまった…けど、何が悪いのかも分からないし、何をしたらいいのかも分からない」。そんな方もいるのではないでしょうか。
ここでは、そもそも中性脂肪とは何なのかを紹介していきます。正しい知識を持って対策していきましょう!
中性脂肪は体にとっての「長期保存できるエネルギー源」
中性脂肪とは、名前の通り脂肪の一種で、英語名を「トリグリセライド」「トリグリセリド」といいます。
血液中には、「中性脂肪」の他に、「コレステロール」「リン脂質」「遊離脂肪酸」の3つの脂肪が存在しますが、このうち、「中性脂肪」と「コレステロール」は、動脈硬化の元凶とされています。
だからといってゼロにした方が良いのか、というと、そうではありません。
中性脂肪は、運動するときのエネルギー源として必要です。
運動するときには、まず糖質が使われますが、不足すると中性脂肪が使われます。
また、体温を一定に保つのも中性脂肪の大きな役割です。悪いものと思われがちな中性脂肪ですが、人間の身体にとってなくてはならないものなのです。
これらの中性脂肪が血液中にどれくらいあるのかを表すのが「中性脂肪値(TG値)」です。
150mg/dL以上の人は脂質異常症と言われ、注意が必要です。
中性脂肪値が高い状態が続くとどうなる?
血中の中性脂肪値が高くなると、余剰なコレステロールを回収するHDL(善玉コレステロール)が減少し、さらに動脈硬化の促進因子であるLDL(悪玉コレステロール)が動脈壁に蓄積しやすくなり、動脈硬化が促進します。
動脈硬化は、日本人の死因の第2位、第3位を占める「心疾患」「脳血管疾患」の大きな原因の一つです。
突然死や寝たきりの大きな原因となる動脈硬化性疾患のリスクを減らすためにも、中性脂肪値をコントロールしましょう。
中性脂肪値が高い原因は?
中性脂肪値が高い原因としては、主に以下の4つが考えられます。
- 糖質や脂質の高い食事を続けている
中性脂肪値は食後に必ず上がりますし、その食事の内容に大きな影響を受けます。
バターやクリームなどの乳脂肪分の多いもの、牛肉、豚肉など脂質の多いもの、果物、ハチミツ、ケーキやジュースなど糖質の多いものを減らしましょう。 - アルコールの摂取
アルコールを飲むと、肝臓でアルコールが代謝されます。
ただし、大量のアルコールを飲むと、その代謝に伴って、肝臓での中性脂肪の合成が進み、必要以上に中性脂肪が作られてしまうのです。
アルコール単体で適量の飲酒であれば、中性脂肪が上がることはないと言われていますが、すきっ腹での飲酒も体に悪いため、おつまみも必要ですよね。 飲酒の際のおつまみは、脂質や糖質を避けたメニューを選びましょう。 - 運動不足
運動するときには、まず糖質が使われて、糖質が不足すると中性脂肪が使われます。
ウォーキング、水中運動、スロージョギング、エアロバイクなどの有酸素運動を週に数回続けることで、効率よく中性脂肪を減らしましょう。
毎日仕事が忙しくて運動の時間を思うように取れないなら、「1駅分歩く」「通勤時に早歩きする」「エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う」など、できる範囲で身体を動かすことからはじめてみてくださいね。 - ストレス過多
ストレスも中性脂肪値に悪影響を与えます。なるべくリラックスできる時間を取り、ストレスを溜めないように心がけることも大切です。
ストレスの原因となっていることを取り除くことが難しいのであれば、ストレスを上手に発散する方法を見つけましょう。
中性脂肪値が低すぎると何が起きる?
30~149㎎/dlが正常値と言われる中性脂肪値。では、29ml/dl以下の場合はどんな症状が起きるのでしょうか。
中性脂肪の値が基準値より低いイコール、体内にエネルギーの蓄えが少ない状態なので、「ぐったりする」「しっかり寝ても体力が回復しない」といった、慢性疲労を抱えやすくなります。
また、中性脂肪は体内の体温調節にも関係しているため、低体温になったり、末端の冷えが酷くなったりする場合もあります。
さらに、脂肪分に溶け込んで体内を巡っている「脂溶性のビタミン(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンDなど)」がうまく吸収されず、肌荒れや抜け毛が悪化したり、免疫力が低下したりすることもあります。
中性脂肪値が低い状態が続くことで、身体の不調を引き起こすこともあります。
栄養不足を甘く見ず、健康な身体を保ってくださいね。
中性脂肪値が低すぎる原因は?
中性脂肪値が低い原因としては、主に以下の4つが考えられます。
- 極端な食事制限
脂質や糖質を制限したり、ほとんど食事を摂らなかったりすると、中性脂肪の値も低くなります。
体重を減らしたいばかりに食事を極端に減らしてしまうと、体調を崩す原因になります。バランスの良い食事を心掛けましょう。 - 過度な運動
何事も、やりすぎると体調を崩す原因の一つになります。
アスリートのような激しい運動を繰り返すことによって、蓄えられた中性脂肪が大量に消費されるので、中性脂肪の値が低くなります。 - 疾患
例えば、肝機能に問題がある場合、中性脂肪の合成・貯蔵ができなくなるので、中性脂肪の値が低くなります。 - 体質や遺伝
体質や遺伝が原因の場合もあります。その場合は身体に必要なエネルギーが不足しないよう、意識的に脂質を多く摂取しましょう。
適度な中性脂肪値が健康を作る
中性脂肪とは何なのか、また高いとどうなるのか、その逆はどうなのか、などを紹介しましたが、いかがでしたか?
先述したとおり、中性脂肪とは体にとってなくてはならないものであり、高すぎるのも低すぎるのもNGです。
30~149㎎/dlをキープして、健康的な毎日を送りましょう。