DHAとEPAの違い
DHAやEPAは、どちらも人の体内では作ることができない必須脂肪酸の一種です。
魚の油に豊富に含まれており、健康に良い成分として知名度が高い成分ですが、実は違う働きを持っている、というのが長年の研究から分かってきました。
ここでは、そんなDHAとEPAの違いについて紹介します。
血管の健康にはEPA
EPAの効果が研究されるきっかけになったのが、氷雪地帯に住むイヌイットの民の食生活でした。
野菜が育たないほど寒い地域のため、イヌイットは野菜をほとんど摂らず、アザラシなどの肉を主食としています。
にもかかわらず、牛や豚、羊など肉食中心のヨーロッパ人より、心筋梗塞で亡くなる方が非常に少なかったのです。
調査を進めると、イヌイットの血液中に含まれるEPAが、ヨーロッパ人に比べきわめて多いことが明らかになりました。
アザラシが主食とする青魚にはEPAが豊富に含まれているため、それを取り込んだイヌイットの血液中にもEPAが多かったのです。
そこから純度100%のEPAを人が摂取するとどうなるか…などの研究を重ね、EPAは血液の健康維持に重要であり、
「血液をサラサラにする」「中性脂肪値を下げる」「血管年齢を若く保つ」「心臓病・脳梗塞を防ぐ」「動脈硬化を防ぐ」などの嬉しい効果があることが分かりました。
脳の健康にはDHA
一方で、DHAは脳の健康にかかわるというのが定説です。
「魚を食べると頭が良くなる」というフレーズが一時有名になりましたが、
脳が作られる段階の子どもや神経の発達段階の子ども、つまり成長期の乳幼児にはDHAが必要、ということからきていると考えられています。
EPAを優先して摂るのがおすすめ
食品からEPAやDHAを摂取することで、血液中のEPA濃度は比較的順調に上がっていくことが分かっています。
これは冒頭に紹介したイヌイットの民の例からも判断できます。
一方で、DHAの濃度はあまり変化がありません。
そこでおすすめしたいのが、「EPAを優先して摂る」ということ。
EPAは体内でDHAに変換することもあるので、EPAを狙って摂っていれば、DHAが不足することはありません。
逆に、EPAは摂っていないと確実に減ってしまうので、EPAが多い食品をしっかり狙えばどちらも十分な状態にすることができます。
魚のなかにも、EPA量が多い魚・少ない魚があり、EPA量が多いのはイワシ、まぐろ、さばなどです。
サプリメントなどで補う場合も、EPAの量に着目してみましょう。